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生井俊の目線。

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物差し。

震災以降、医療現場、介護現場からずいぶん講演や研修をいただくようになった。

最初は、「ディズニーのサービス・接遇」で呼ばれることが多かったのだけど、あるときを境に「生井さんで」という指名や、「好きに話してください」というお任せが増えた。いろいろ考えてみた結果、これは「人と違う物差し」(判断基準)を持っているからではないかと思う。

ボクらの世代は、損得で判断したり、効率が最優先される教育が行われていた。有名大学に入り、国家公務員や東証一部上場企業に入ることが是とされた時代。人の賢さは、知識量とその再現性(確実性)で判断された。

でも、社会に出て、壁にぶつかったりすると、知識量や効率、損得では太刀打ちできない領域があることに気づく。そして、2011年に大震災を経験して、これまでの在り方が揺らいだりすると、異なる物差しを学ぼうとするのは、当然ではないかと。

生井の物差しは、小学校5年生でライターデビュー、ディズニーでのバイト経験(オリエンタルランド準社員)、高校中退、同志社大学留学、早稲田大学卒でもいまだ引きこもり、作家、高校中退したにもかかわらず高校教師の経験あり、完全ゆとり世代の教育者など、華々しくもあり、堕落していたりもする。睡眠時無呼吸症候群だから、寝ている時に呼吸が止まるのは当たり前、起きているときに眠くなるのも当たり前、呼吸が止まっている時に目が覚めてもがいたことも何度も。

たぶん、あなたも必死に生きているんだろうけど、ボクも実は、必死に生きている。なんか、必死さを見せるのは格好悪いから、何事もなかったようにするんだけどね。必死に生きるとは、決してもがいたり、生き急ぐことではなく、今、ここで、後悔がないように、深い位置で生ききることだと、今は感じている。

そんな風に、いろんな物差しがある。その中で、「人として」という物差しを示すことが多くある。損得や効率はさておき、「人としてどうよ?」という問いを立てる。ボクも、損得を考えて生きてきた。今ではずいぶん軌道修正したけどね。

昔からお勉強はできたし、先生にかわいがられてきた。先生にかわいがられることなら、ちゃんとやってきた。人が嫌がる掃除も率先してやったし、授業中に話を聞かないヤツを注意したりとかね。なんでそれをやってきたかというと、それが正義だと思っていたから。正義なんて、声高に主張することではないって気づいたのは、高校生になってから。正しいことは、小さな声で十分伝わるって知った。

先生から好かれる一方で、友達から好かれていない自分に気づいてもいなかった。誰とでも付き合うけど、とことん付き合うこともしなかったし、人間関係も常に自分に損か得かで考えてきた。大体のことはひとりでできたし、人に頼ることもあまりしなかった。チームワークという言葉は、弱い人たちのためにある言葉だと思っていた。常に自分が正しいし、一番優秀な人でありたかった。だから、すごいねと言われたことは沢山あったけど、いい人だねと言われることは滅多になかった。

でも、そんなちっぽけなプライドなんて、簡単に崩れ去る。優等生である生井君に無理が生じて、学校へ行けなくなり、そして高校を中退した。世の中のすべてを悪者にして、自分の信念を貫いたというか。

高校中退すると、わかることがある。「イクイが学校を辞めても友達だよ」と言ってたヤツほど、ボクのいない生活にあっという間になじんでいった。ボクは、そうして「世間一般」という流れから取り残された。

でも、寂しさや孤独の中で、微妙なバランスで人間関係が成り立っていることを、16歳でしっかり味わうことになった。この「物差し」が、今の講演活動に生かされている。

強がるんじゃない。
弱さを知ることが、すべての始まりなんだ。
そう今も、引きこもって叫び続けているし、そんなボクでもいいからと、外に連れ出してくれる人たちがいる。

微妙なバランスとご縁の中で、ボクは生かされている。
感謝!


by ikushun | 2014-02-03 01:40 | 自己紹介

著書『高校生でもプロ意識が生まれる ディズニーランド 3つの教育コンセプト』『本当にあった ホテルの素敵なサービス物語』ほか。連絡先:ikuishun@gmail.com


by ikushun