生井俊の目線。

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クレーム処理の達人。

講演やセミナー、研修に「ホスピタリティ」や「CS」(*)の専門家として、招かれることがずいぶん多くなりました。

*Hospitality=サービスのような主従関係のない心からの「おもてなし」のようなもの
 Customer Satisfaction=顧客満足、お客様満足度。
 ※Customer Serviceの略ではありません


学術的にホスピタリティやCSを研究されている方は多くいると思います。しかし、経験や体験を語れる講師が少ないようです。どちらかというとひきこもりで、その時々で適当な仕事に就いてきた気分屋のボクでも「内容がわかりやすいから」と呼んでくださるようです。

ホスピタリティやCSを語ると、もう一方といいましょうか「クレーム」(苦情、コンプレイン)についても話してほしいという要望がよくあります。実際に、クレーム処理の専門家とセミナーで一緒になったこともありますし、ボクひとりでその両方を話すこともあります。

クレーム処理のプロがいる一方で、クレーマーといわれる、クレームをつけるプロもいます。相手がプロ(クレーマー)とどう見抜くか、お客様満足を維持しながら、どう対応すべきなのかと気になるようです。

このことに関していえば、取り立てて素晴らしい方法があるわけでなく、
基礎・基本にのっとった対応を、関係各所と連携しながらとることがカギになります。



クレーマーではなくても、「なんだ、このひどい店員は!」とか、接客業なら「マナーが悪い客だな」と思うことは、どんな人でもあることでしょう。そういう状況で、店員に対してなら適切なクレームの入れ方、お客様に対してなら適切な注意の仕方がないのかと、ボクは常に考えています。

適切かどうかを考え、意識することで、よりよい行動が見えてくる気がします。



最近、こんなことがありました。

携帯電話の機種変更をしようとauショップ(直営店)に入った時のこと。
機種変更の価格がわかりづらいので、窓口で
「いくらですか」と聞くと、
「携帯電話番号から教えてください」といわれました。

その時点で
「え、なんで、値段を聞いているだけのに、携帯番号を?」
と思ったのですが、とりあえず携帯番号をお知らせしました。

すると、店員が
「料金をお調べしますから、身分証明書の提示をお願いします」というのです。
ボクは、いくらか知りたいだけです。なので、
「機種変の値段を知りたいだけなのに、身分証明書まで出す必要がありますか」と返しました。

店員は、
「契約年数やポイントを確認するために必要」というのです。

ここで、ボクが「軽い気持ちで値段を聞きたい」と考えていたのと、
店員のマニュアル通りの対応、もしくは、「正確な料金を提示したい」との考えとがぶつかり、
かみ合っていないことがわかりました。

ですから、改めて、
「機種変更の値段を知りたいだけなので、身分証明書はいらないですよね」と念を押すと、
店員からは、
「身分証明書をお出しいただけないと、契約年数や正確なポイントがお出しできませんが、それでいいですか」と返ってきました。

それでよかったので、
「それでいいです」といったわけですが、
電話番号をいきなりきかれた上に、身分証明書を求められたり。
こちらの意図する対応をしてくれなかったという、不愉快な思いは消えません。

この件について、謝罪もありませんでしたから、
「不愉快だ」と伝えてから、店を後にしました。
もちろん、店員の誰からも
「申し訳ございませんでした」という言葉を聞くことができませんでした。

きっとマニュアル通りの対応をした彼女(店員)を責める人はだれもいないことでしょう。
相手(店員)からすれば、ボクは
「物わかりの悪い客」であり、
「身分証明書を見せれば、機種変更の代金がすぐにわかったのに」と思っていることでしょう。

でも、不愉快な思いをしたことは、適切な形で伝えなくてはいけません。
(※双方不愉快な思いをしていると思いますが)
言葉でスッキリするなら大声を出せばいいわけですが、
そうもいかない性格なので本部へメールすることにしました。

ここでは、謝罪はあるにこしたことはありませんが、
今後同じようなケースで、同じ対応をしないようにしてほしいと要望することに主眼を置きました。

相手に、
「こういうことがあったので、改善してほしい」では伝わらないと思うので、
メールや手紙を書くときには
「こういうことがあったので、こういう対応にしたらいかがでしょうか」という提案に置き換えるわけです。

今回のケースでは、こう記すことにしました。

 機種変更の代金は決まっているのですから、その代金を提示してから
 「詳しくお調べすることもできますが、いかがですか」と断りをいれてから、
 携帯電話番号、場合によっては身分証明書の提示を求めるべきだと思います。




よく考えてほしいのです。
携帯ショップだったから「アリ」なのかもしれません。
それが、スーパーだったらどうでしょう。

「この牛乳、いくらですか?」と店員にきいたら、
「ポイントカードの番号を教えてください。それと、身分証明書をお願いします」
と返されているようなものです。
それくらいの「違和感」がボクにはありました。



それはさておき。

クレーム処理の裏側を見たいと思う方が多いから講演依頼があるのでしょうけど、それよりもまず、日常の業務で寄せられるクレームを提案の形に読みかえてみることから始めてほしいと思います。そうすると、少しクレームが価値を帯びるかもしれません。

また、お店やサービスに不平・不満をもっている方は、まず内容をきちんと伝え、次にどう変えていってほしいのかまで明記することが求められているのではないでしょうか。相手も、具体的であればあるほど、その対応ができるのかどうかや、いつまでに可能なのかを返しやすいと思うのです。

携帯電話の機種変更の話を引き合いに出しましたが、クレームというと、いつもそんなことを思っているのです。



後日談として、本部からの謝罪は受け取りましたが、そのauショップからの謝罪は一切ありませんでした。ショップは店員優先の姿勢をとられたのか、「たまたま客が悪かったんだよ」と客に責任を押しつけたのか。これ以上、追求をするつもりもありませんが、この店をボクは利用しなくなったことは間違いありません。このクレームで、対応が少しでも良くなっていることをただ願うだけです。



ボクがホテルの設備やサービスについて理不尽なクレームを入れた時、仙台にあるビジネスホテルチェーン「チサンホテル仙台」ではどう対応したのか?(それ以来、一方的で身勝手なクレームは書かないようになりました。誤解なきように!)

素敵なホテルに共通する、ささやかで心あたたまるサービスとは?
チサンホテル仙台を含め、実際にボクが経験した7つのエピソードをまとめました。
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ディズニーランドでは、
ゲスト(お客様)からのコンプレイン(クレーム)をどう扱っているのか?

そして、お客様満足度を高める、SCSEの秘密とそれを徹底する教育手法とは?
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by ikushun | 2007-09-24 17:37 | 仕事 | Comments(0)

著書『高校生でもプロ意識が生まれる ディズニーランド 3つの教育コンセプト』『本当にあった ホテルの素敵なサービス物語』ほか。連絡先:ikuishun@gmail.com


by ikushun